ごく普通の男 その10

ごく普通の男

 

何かしなくてはいけない。

そういう危機感はずっと心の中にあった。

でも出来ていなかった。

自分がダメな人間だからだ。

物事を普通の人よりちょっと上のレベルでさばいてきた。

できる人間だと思われていた。

全然そんなことないんだけどね。

工場という閉鎖的な空間では変な人が多い。

個性的だが一緒にいたくはないと思ってしまった。

全員ではないがそう思える人は多かった。

自分もその一人だと思うとゾッとした。

 

僕は自分の事を普通の人だと思う。

外見から言うと身長、体重、顔、肌の色、そして収入。

世界の平均値から見ればちょうど真ん中くらいだと思っていた。

上を見上げればキリがないし下を見ればとんでもない暮らしをしている人たちもいる。

その中から見れば真ん中くらいだと思う。

そこらへんが良かった。

へんに目立たないし外見などで後ろ指を刺されることなどもない。

こういう人生なんだろうな。

それでも良かった。

何かしないといけないなと感じていたのはこのままではいけないという危機感とこのままでいいやという感情の戦いだったのだ。

自分の中だけで。

今までは頭の中で思っていることを実行しないで終わりにしていた。

それで満足だった。

一回でいいから何かやってみたいな。

失敗してもいいから。

少し僕の心に変化が起きる出来事があった。

いつも通り彼女の家でテレビを見ていた。

今日から始まる旅番組だという。

名前はJ’s journey。

ジャニーズ事務所の人が旅に出るらしい。

この人を僕は知っていた。

北山君というかっこいい人だ。

キスマイというグループに所属し日々忙しい中で約8日間を使いインド デリーからゴールのコルカタまでの旅だ。

しかも所持金は1万円だけ。

こういうミッション的な企画は好きだ。

毎週放映するということで予約録画をしてもらって見ることにした。

今の気持ちは何かこういうの見てるの好きだなぁっていうだけ。

毎週が楽しみになった。

つづく。

 

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