こころ動く その9

こころ動く

 

「カメラなんて技術が大事だから何だっていいんだよ。」

「いや、このカメラのこのレンズだからこそこんなに良い写真が撮れたんだ。」

雑誌にはいろいろなプロカメラマンが議論をしている。

家にはずいぶん前に兄が買ってきたキャノンのコンパクトデジタルカメラがあった。

撮ってみたが液晶に映る写真は皆しょぼいものだった。

「それはかなり古いやつだから使わない方がいいよ。」

兄は言う。

何でだろう。

あなたが買ったカメラでここに置いてあるということはいざとなった時に使うから置いてあるのではないのかい?

違った。

SDカードを入れ替えればいくらでも写真が取れるから便利そうだなと思ってキレイとかそういうのはどうでも良いまま買ったらしい。

素人の僕から見てもキレイではない。

これも技術なのか?

オートモードってなってるのに技術がいるのか?

違った。

ただ古かっただけだった。

デジタルカメラはすごい速さで進化しているらしい。

家に置いてあったコンパクトデジカメの写真と雑誌のコンクールで入選した写真を比べると一目瞭然だ。

これどうやって撮ったんだろう?

写真の下にはカメラの機種とレンズの名前が入っていた。

このカメラを使えばこんな写真が撮れるのかな?

そんな疑問を持ってしまった人はいくらでもお金をかけられる人だ。

僕にはあまりお金がない。

ただでさえ飛行機代やバックパック代、そしてビザ代。

僕にとっては痛い出費だった。

3万円くらいで何とかならないかな。

電気屋を探してみるがそれくらいだとおもちゃみたいなものしかなかった。

中古だったらあるかな?

ヤフオクを見てみる。

ニコンで探したら「中古だがまだまだ使えます。キレイな写りです。」って書いてあった。

NIKON D5100 KIT レンズ付き VR 18-55

中古だけど一眼だしこれにしよう。

何となくニコンというカメラ業界では信頼があり一眼というカッコいい物が手に入れられるという気持ちがあり落札していた。

送料込みで28,200円だった。

開けてみると思っていた通りのカッコよさ。

レンズをはめて構えるとサマになっている。

自分でそう思い込んでいた。

そんな自分がこの時だけはカッコよく見えた。

プロになれちゃうかも。

なれません。

しかしプロカメラマンというのは資格がないらしい。

ということは業界から認められれば仕事もくるし写真を撮って生きていける。

何言ってんだ。

バカか。

でも一瞬そう思えた。

このカメラでインドの街並み、僕が見てきた景色を撮ろう。

もうインドに行くことは確定になっていた。

たいして使い方も知らないくせに。

つづく。

 

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