異文化そして洗礼 その8

異文化そして洗礼

何なんだ。この大きい寺院は。

素晴らしい寺院が目の前にある。

しかしあまり有名ではない。

アークシャルダム寺院。

少なくとも僕は全然知らなかった。

デリーからちょっと離れたところにある比較的浅い歴史を持つ寺院だ。

多くの人が並んでいる。

僕たちも並ぼう。

並ぶ前に荷物を指摘されたのでそれは預けた。

30分くらい並んだだろうか。

僕たちの番になった途端に係のインド人が急に僕のバッグにダメ出しをしてきた。

もう一度戻り並び直した。

合計で1時間ほど並んでからやっと入れた。

かなり広い敷地で無駄だと思われる空間がいっぱいあった。

寺院までたどり着くと靴を脱がされる。

寺院の中は撮影禁止だと言われていた。

残念だが写真は残せなかった。

僕たちはこの大きい寺院であまりの大きさと贅沢な作りに息を飲んだ。

美しいと大きいということ。

そしていくらかけて作ったのだろう、国お金だけでは無理なのではないかという疑問とともに外に出た。

だいたい30分くらいいたのではないだろうか。

それでも全然飽きなかった。

外に出て逆側を見るとフードコートのようなところがありみんなが楽しそうに食事をしている。

僕たちもお昼を食べることにした。

何があるのだろう。

見てみると日本と変わらずホットドックやカレー、その他ドリンクなども充実している。

なんか寺院って感じがしないな。

まあ普通に美味しいからいいや。

僕たちは遅いお昼を済ませて外に出た。

しかし、こんな綺麗な寺院の横にこんなチープなフードコート。

先進国だったら寺院の雰囲気を壊さないようにもう少し会議をして建設するとか何か考えるはずだがこんな形でも人々は気にしていない。

むしろ近くにあって楽だなくらいの気持ちなのかもしれない。

文化が違うと建物の形やレイアウト、人を入れるときの対応なども全然違う。

最初はこういうところにイラッとしたものだが今はこういうものだと受け入れている。

仕方がないことなのだ。

僕らが何を訴えようとも彼らには何も響かない。

だったらむしろこの状況を楽しむべきなのではないか。

僕は今そう思っている。

この寺院には正直来れてよかったと思っている。

短い時間だったが僕なりに楽しめた。

なぜあまり有名ではないのだろうか。

タージマハルと同じくらい建造物としては優秀だと思う。

おそらく歴史が浅いからなのだろう。

とりあえずここを出て次の目的地に行こう。

外にはオートリクシャーがあるがみんな高くふっかけてきていた。

僕たちは一番端っこにいたサイクリキシャーというオートリクシャーの自転車の奴に声をかけてみた。

彼の言い値は安かった。

僕たちは乗った。

ここからデリー市街地まで結構な坂がある。

自転車で大丈夫なのだろうか。

僕たちはちょっと後悔していた。

彼は一生懸命自転車をこいでいる。

しかし全然進まない。

立ちこぎまでしているが全然進まない。

最後は自転車から降りて押しているではないか。

まわりのオートリクシャーにはどんどん抜かされている。

僕はちょっと苛立っていた。

早く押せよ。

そういう感じで彼を見てしまった。

そして坂道が終わった頃に僕たちは降りた。

彼は大変だったからと最初の言い値より高くくれと言ってきた。

それは出来ない。

彼がどんなに大変だろうと僕たちからしてみれば遅かったから割引きしてもらいたいくらいだった。

彼の大変さと僕たちの満足度がこうも違うのかと思い知らされた。

カイト君は彼にお金を払ったが彼は不満そうだった。

この時に僕は決めた。

もう自転車タイプのやつには乗らないと。

僕たちは他のオートリクシャーを探しデリー市街へ向かった。

僕たちが次に向かったのはチャンドニーチョークという屋台街とジャマー・マスジットという寺院だ。

時刻はもう午後4時。

ジャマー・マスジットは5時まで開いているらしいがニューイヤーなのでどうなるかは分からない。

とりあえず行ってみよう。

しばらく走るとチャンドリーチョークがあった。

結構な人混みでここをまっすぐ行くと寺院がある。

いろんな人が声をかけてくる。

買ってくれということなのだろうか。

僕はあまりお金がなかったのでやめておいた。

靴などはおそらく偽物だしジャケットやシャツなどもそうだと思う。

この人混みの中をかき分けて進んでいき寺院に着いた。

少し遅くなってしまったが何とか着いた。

階段を上がると寺院から大勢の人が出てきた。

あれ?

閉まってる?

僕たちは係の人に確認したら今日はもう終わりだそうだ。

仕方ない。僕たちは表の階段のところでしばらく座っていた。

空がだんだん暗くなっていき僕たちは一度ホテルに帰ろうということになった。

ホテルまでオートリクシャーに乗りメインストリートの方へ向かった。

ホテルに着きオートリクシャーの運転手にお金を払い僕たちはホテルに入った。

一度ゆっくりしてから

僕たちはまた外に出て夕食をするところを探した。

別のホテルの屋上にあるレストランに入り僕はエッグカレーとバターナン、そしてジンジャーハニーレモンティーを頼んだ。

カイト君はまたそれかよみたいな顔をしている。

このメニューにはハズレがない。

ずっとこれでもいいと思った。

明日の朝にはカイト君はムンバイに行ってしまう。

少し寂しかったが僕も明日1日は一人でデリーを行動してみようと自分に喝を入れていた。

カイト君には本当にお世話になった。

お礼を言っても言い切れないくらいだと思う。

ノープランで来てしまったおじさんに対して親切に色々と彼の経験を見せてもらったし色々と勉強させてもらった。

今回でこういう旅はもうしないと思う。

とりあえず明日は本当の意味で一人だから頑張ってみよう。

カイト君には違う旅が待っている。

その旅の無事を祈るしかない。

僕のバッグの中に非常用の食糧で買っておいたカロリーメイトが2箱あった。

これをカイト君にあげよう。

僕には必要ない。

カイト君は「いいんですか?」と言ってきたが君が僕にしてくれたことを考えればこんなの安いものであって本当はもっと違う形でお礼がしたかったんだよ。

食事も終わり僕たちはホテルに戻った。

「今までありがとうございました。明日の朝すぐ出ていきます。」

そうカイト君は言い僕は

「色々お世話になりました。気をつけて。」

と言った。

彼は部屋に戻り僕も部屋に戻った。

シャワーを浴び少し寝た後に僕は起きてカイト君がちゃんと起きているか心配になった。

朝4時頃隣の部屋からゴソゴソと物音がしてドアを開ける音がした。

僕は声はかけずに外に出ていく彼の足音だけ聞いていた。

良かった。

とりあえず出発した。

これからはカイト君は一人でムンバイの旅を続け、僕は一人デリーで1日の旅をする。

カイト君にはカイト君の物語があり僕には僕の物語がある。

大変だと思うけど頑張って欲しい。

僕も一人で頑張ると決めた。

もう一度寝てから起きたのは朝7時。

僕はもう一度シャワーを浴びて外に出る用意をした。

午前8時。

僕は外に出る。

今回はホテルにバッグは置けないので重いバックパックを背負い朝食を取ろうとしていた。

朝早くから店は開いていてインド人達が僕に声をかけてくる。

店の前では女の子が洗面器に水を張り髪を洗っている。

まわりを見れば多くの女の子が髪を洗っている。

僕のスマホは気温1℃となっている。

すごいな。

何とも言えなくてこの言葉しか出てこなかった。

メインストリートを出て僕は地元のものが食べたくなった。

露天とまではいかないがそれに近いもの。

今食べてお腹が痛くなったとしても、もう帰るんだし大丈夫でしょう。

そういう覚悟を決めて僕はローカルの食堂に入った。

頼んだのはエッグカレーとバターナン、そしてジンジャーハニーレモンティー。

一緒じゃん。

日本人から見たら汚い食堂である。

しかし僕にはそこそこ食べれそうな感じがしていた。

やはりインド人が集まる食堂に間違いはなかった。

見た目はちょっと良くない。

しかし味はいいじゃないか。

日本でもあるがそんなに綺麗じゃない食堂でも人が集まっていてその店が繁盛しているのであればそこには必ず理由があるのだ。

僕はそう思っている。

人によってはダメだと思う。

でも僕みたいな労働階級の人間にはちょうどいいのだ。

大袈裟な話でいうとこれがあるなら住めると思うくらいだ。

まあ住むことはないがあくまで大袈裟な話である。

この寒い中ジンジャーハニーレモンティーは体にしみる。

つまり美味しいということだ。

日本に帰っても飲んでみようと思えるドリンクだ。

こういう場所を開拓していくのも旅の醍醐味なのではないだろうか。

今日一日僕は一人だ。

何とか自分一人で交渉や行先を相手に伝えなくてはならない。

何とかやってみよう。

70ルピーを店主に払い僕は店の外に出た。

つづく。

 

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