異文化そして洗礼 その9

異文化そして洗礼

僕は一人になった。

インドに来てからというもの旅の友に恵まれてここまでこれた。

彼らの旅はこれからも続くのだろう。

僕の旅は今日で終わるのかもしれない。

でもあと1日ここにいる。

何とかデリーをまわってみようと思う。

どこからがいいかな。

実際ノープランで来てしまっていたのでよく分からない。

来る前に確認したのはタージマハルとデリーにビートルズが来た時に寄って行った楽器屋のリキ・ラームくらい。

僕はリキ・ラームに行ってみることにした。

今は小さいモールにあるらしい。

ずっとオートリクシャーに乗っていたので今度は歩いてみることにした。

僕は散歩するのが好きだ。

同じ旅でもバスで通り過ぎたりオートリクシャーなどで景色だけみているところは印象に残りにくい。

自分の足跡をつけたところが思い出に残っている。

ふとした時に思い出すのはいつも自分の足で歩いた場所だ。

できるだけ歩いてみよう。

とりあえずモールまで行ってみた。

大きなシネマがある。

インド人の娯楽は映画観賞なのだろうか。

インド人の人が何に熱狂してストレスを発散するのかがよく分からない。

おそらく映画鑑賞は一つの娯楽なのだろうと思う。

まだ朝早いのであまり人はいないが犬だけはウロウロしていてこちらをみている気がする。

僕は犬に気をつけながら白いモールを目指していた。

ちょっと前に勇気を出して通行人のインド人に聞いてみた。

「うぅぇあぁざリーキーラームー」

彼は白いモールにあると言っていた。

多分。

これであったとしたら通じたと思っていいのだろう。

いろんな雑誌に書かれていた。

インド人に道を聞いて目的地にたどり着いた人はいない。

ちょっと心配になってきた。

それでもその情報しかないから僕は白いモールを目指して歩いてみた。

少しだけ白い建物が見えてきた。

真っ白ではないがとりあえず白いモールだと思う。

「あれかな?」

独り言だ。

もう答えてくれる人はいない。

しかし独り言は増える。

自分に言い聞かせているのだ。

自己完結しているのだ。

それでもいいではないか。

もともと日本で一人だったわけだし。

なんか書いてある。

リキ・ラーム。

これかな。

とりあえず通行人のインド人の言っていることは正しかった。

あれ?クローズって書いてある。

中には入れないのかな。

まだ早い時間だから開いていないのだと思った。

じゃあどうしようか。

特別見たいところなどない。

なぜかと言うと昨日カイト君と行ったところがデリー観光として成立してしまっていたからだ。

宿の店主が紹介していた観光場所もそんなところだった。

じゃあもう一回行ってみよう。

僕はまわりを見てオートリクシャーを探した。

本当だったら歩いて行きたいのだが地図がないのだ。

しかしまわりを見てもオートリクシャーがいない。

メインストリートにあれだけいたのにどこへ行ったのだろう。

僕はまた通行人に聞いた。

「うぅえぇあぁざレッドフォート?」

僕はそう聞いたが彼は少し悩んだフリをして

「あっちだ」

と僕から見て右側を指差した。

お礼を言い僕は歩き出したがあの悩んでいるフリは一体何だったのだろう。

まあ良い。

とりあえず目的方向は決まったのだから歩いてみた。

もしオートリクシャーがいたら止めて乗せてもらおう。

しばらく歩いているとデリーの日常が見えて来る。

一般の人はこういう道を歩いて仕事に行くのか。

車を持っている人はごくわずかなんだな。

何でこの人達はここに座って話し込んでいるのだろう。

ベンチもないのに。

そんなことを思いインド人の日常を観察してみる。

意外に楽しい。

僕は日本で東京などに行くとベンチに座って人間観察をする。

変な趣味ではない。

どういう行動をしてどういう人と接しているのかを見てみたいのだ。

ベンチには座らないが歩きながら日本とは違う日常を見ることが楽しくなった。

もちろん写真も撮っている。

これがスナップ写真か。

人々の日常を撮る。

これもなかなかいいね。

日本に帰ってもやってみよう。

今日1日は写真を撮ることも考えて歩こう。

ジャイプールとアグラは彼らいついていくのが精一杯だった。

異国の文化に衝撃を受けていた部分もある。

一度落ち着いてしっかり自分が歩いているところを残して行こう。

僕は歩きながら良いと思った景色は全て撮った。

一般の人にレンズを向けるとシャイな人もいればポーズをとる人もいる。

中には撮ったあと画面見せてなんて言ってくる人もいた。

僕は綺麗な景色を撮るように心がけていた。

インドに来る前は雑誌の風景写真をずっと見ていた。

でも人と景色が混ざったその時にしか撮れない写真にも興味を持った。

意外にも嫌な顔をする人はいない。

ちょっと顔がこわばる人が多い。

多分僕もこわばるだろう。

こわばると言うか撮って欲しくない。

こう言っては何だが撮るのは良いが撮られるのはイヤ。

自分勝手な男だ。

それにしてもオートリクシャーがいないな。

ストライキとかあるのかな。

ちょっと裏道に入ってしまったのかな。

人がいなくなってきた。

正月だからかな。仕方ない。

真っ直ぐ進もう。

しばらくして大通りに出るとやっとオートリクシャーがいた。

僕は手をあげてオートリクシャーを呼んだ。

彼はすぐ来た。

そして僕が「レッドフォート」と言うと

「200ルピー」と彼が言った。

高いか安いかは分からないがとりあえず

え〜、高いよ〜。

みたいな顔をする。

そしたら彼は

「分かった。150ルピーね。」

そう言った。

あれ?

値切れた。

と言うよりはこんなに簡単に値下げするんなら最初からふっかけるなよ。

言うのはタダだけど。

めんどくさい。

しかしそういう国だから仕方ないよね。

受け入れよう。

景色が流れて行ってレッドフォートに着いた。

「昨日来たよね。」

独り言を言った。

入場料を払い中に入る。

これも昨日と同じだが昨日取れなかった写真を撮ってみる。

今日も霧が出ててはっきりとした雑誌に載っているような写真が撮れない。

天気のせいではない。

腕のせいだ。

本当はもっと良いカメラと良いレンズがあれば撮れたかもしれない。

そう思ってはいるがそんな事などないのだ。

なぜかというとIphoneでもっと良い写真を撮る写真家がいる。

その中で僕は一眼レフを持っているのに何を言い訳しているのだろう。

そんなことではこの先が思いやられる。

とりあえず撮ろう。

もしかしたら後々見返した時に良い写真になるかもしれない。

撮れるだけ撮っておこう。

レッドフォートに入ってすでに1時間が経とうとしている。

そろそろ出よう。

昨日と同じルートで行こうと決めていたので僕は外に出た。

外には多くのオートリクシャーがいてみんな僕を見ていた。

レッドフォートに来る前はあんなに探してもいなかったのになぜこんなにいるのか分からない。

人気があるところに固まっていたのだろうか。

まあ良い。

とりあえず乗ろう。

ちなみにレッドフォートに来る前に通行人に道を聞いたが見事に反対だった。

わざとなのだろうか。

よく聞いてはいたが本当にインド人は嘘つきなのだろうか。

今のところ僕はそう思ってはいないがこれからは分からない。

機会があったらまた声をかけてみよう。

次はアークシャルダム寺院。

僕の発音が悪いのか全然運転手が分かってくれない。

ずっと首を横に振っている。

何回言ってもダメ。

何でだろう。

最終的に他の運転手が来て僕に言った。

「今日は閉まっているよ」

え?

本当?

この人たちも商売なんだからわざわざ嘘つくことなんてないよな。

そう思い僕は彼らの言葉を信じた。

じゃあどうしようか。

クトゥブ・ミナールにしよう。

ここからだったら本当は地下鉄を使いたいがもうすでにシートに座ってしまっている。

仕方ない。

「クトゥブ・ミナール」

僕は言った。

彼はうなずき出発した。

地下鉄からは近くに感じたが実際はどれくらいの距離なのだろう。

僕は一つ忘れていたことがある。

料金交渉だ。

ヤバイな。

もう乗っちゃったし着いてからトラブルに遭うのは嫌だな。

少し高くてもいいから大人しくしておこう。

不安になる僕を乗せたオートリクシャーがデリーを駆け抜けている。

つづく。

 

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