現実へ戻される

現実へ戻される

僕は今インドのデリーにいる。

「もう帰るんだな」

少し寂しかった。

それだけこのインドへの旅が充実していたのである。

正直言って空港でやることなどない。

サービスカウンターでバックパックを預けチケットをもらう。

ここに来る時は不安で仕方なかったが、いざ帰るとなると少し残念な気持ちになる。

僕は歩いて出国審査へ行く。

帰りは出国審査の質問などはなかった。

ゲートで待っている時ヒマなのでトイレへ行き写真を撮ってみた。

「さすがに空港は汚くないな」

そんなことを言いながら僕はまたゲートに戻る。

小さいバッグの中にお菓子が入っいて僕は少し食べてみた。

「マズっ」

安定のマズさである。

これをお土産でみんなに渡したら怒るだろうな。

やめておこう。

しばらく待っているとアナウンスがあった。

フライトの時間らしい。

僕は列に並び順番を待っていた。

誰も割り込んでくる人などいない。

いちいち比べてしまう。

僕のチケットを係の人がバーコードで読み取り僕は中へ通された。

係の人は日本人だった。

この航空会社はANAで直行便なのだ。

これだったら機内サービスも安心だな。

今回で3回目の飛行機なのにそんなことを言っている。

1回目は高校の時の修学旅行。

ハウステンボスへ行った。

2回目は初めて入った会社の社員旅行で北海道へ行った。

3回目がインドだ。

今回初めてパスポートを使ったのだ。

良い経験をしている。

自分で決めてきたのだがこの決断に後悔はなかった。

飛行機が動き出した。

行きと違って外は晴れている。

夜だがはっきりと分かる。

今回の飛行機代が往復で14万円。

カイト君が見せてくれたスマホの画面は4万円台だった。

何がどう違うのだろうか。

僕がいま座っているシートはエコノミーだ。

多分これよりも狭いシートはないだろう。

多少の誤差はあるかもしれないがエコノミーはエコノミーだ。

どうあがいてもビジネスにはならない。

その10万円の差は一体なんなんだろう。

帰ったら調べてみよう。

別にもう何処かへ行くわけではないが見てみたい。

あとはこのスマホ。

彼らをみている限りはもうちょっと便利に使えそうな気がする。

そういうところももったいない。

せっかく高いお金を払って手に入れたのに使いこなさないなんて。

機械のことはよく分からなくて電話とメールができれば良いんです。

そんなことをつい最近まで言っていた。

本でも買ってみよう。

スマホの本とカメラの本だ。

この二つをうまく使うことができればもっと僕の人生が変わる気がする。

そんなふうにさえ感じていた。

飛行機の両翼のエンジンが急に大きい音を出した。

飛ぶんだな。

行きと同じく僕は覚悟した。

隣の人にはこの感情を気づかれないようにスカした顔をしていたが内心は心臓バクバクものだった。

フワッ

あっ。

飛んだ。

そのあとすぐにギューンと飛行機が傾いて方向を変えていた。

そして雲よりも高く飛行した後に少し安定してきた。

外は真っ暗で何も見えない。

前にあるモニターを少し確認して映画でも見ようと思ったがやっぱり落ち着かなかった。

なんとなくつまらない時間を過ごしていると食事が出てきた。

僕はパスタとビール、クレープのようなものとジンジャーハニーレモンティーを食べてしまっていた。

これは全部食べられないな。

食べられるものだけ食べてあとは残そう。

決してまずいわけではなかったが残した。

少し前にゲートのところで食べたインドのマズいお菓子を恨んだ。

食べてから少し落ち着き寝ようと思った。

僕は疲れていた。

目をゆっくり閉じたらいつの間にか寝ていた。

リクライニングをしているわけではないのに。

こんな状態でも寝れるんだなと感心してしまった。

体がビクッとして目が覚めた。

ここにきて寝ピクをしてしまった。

高校の時はよく寝ピクをして先生に怒られたものだ。

そんなことを思い出していた。

今どこなんだろう。

モニターで調べてみる。

半分以上飛んでしまっている。

よく寝れたな。

狭い席の中で小さく伸びをした。

飛行機の中は電気を消している。

おそらく寝てくださいという時間なのだろう。

僕はトイレに行ってからもう一回寝ようと思った。

今回も僕の席は通路側だ。

別に外なんて見えなくても良い。

トイレに行きやすい席の方がいいしサービスカウンターの女性に窓側と通路側のどちらがよろしいでしょうか?と言われて「通路側でお願いします」と伝えていた。

やっぱり選べるじゃん。

全部の航空会社がそうではないのかもしれないが選べるのだったら必ず通路側にしよう。

僕はトイレの前のスペースで少し屈伸をしてから席につき、そしてまた寝た。

少しフワッとして僕は起きた。

またモニターで確認するともう近くに来ていた。

電気はついていてアナウンスもあった。

もうそろそろ着くのだろう。

寝ぼけていてもそれくらいは分かった。

空は快晴だ。

冬には珍しく抜けたような景色が飛行機を包んでいる。

だんだんと陸が見えてきた。

飛行機がガクガクと音を立てている。

高度をを下げているのだろう。

シートベルトはトイレに行く時以外はずっとしていた。

機内アナウンスが入った。

そのアナウンスはいらないんじゃないかと思うくらい陸が近かった。

少しするとドーンッと音が鳴りブレーキをかけている。

飛行機はゆるい速度で滑走路を走りゲートへと向かう。

すでにシートベルトをはずしている人もいる。

そんなに早く出てもどうせ荷物とかあるんだから待たなきゃいけないのに。

僕は急いでいる人に対してそういう目で見ていた。

またアナウンスが入りみんなが一斉に立ち上がった。

僕は小さい荷物しかなかったので上のスペースは使っていない。

ほぼ全てバックパックに入れていた。

みんなが列に並び順番に外に出た。

時間を確認すると午後1時30分。

これから入国審査を通って荷物を受け取って外に出るとだいたい午後2時。

それから家に帰っても夕方には着くな。

それくらいしか考えられなかった。

なんか頭がボーッとしていた。

午後2時。

入国審査を通り荷物を受け取った僕が成田空港線の前に立っていた。

つづく。

 

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