暑さ その3

暑さ

僕は朝、自分の部屋から歩いて前橋大島駅へ行っている。

たいした距離ではないが30分位かかる。

いつもは車で5分もかかる場所じゃないからなんとも思ってはいないのだけれどこのくらい時間がかかってしまう。

それは当たり前のことなんだけどわざわざタクシーを呼ぶほどでもないしタクシーとしてもこんなところに呼んでしかもこれしか走らせないのかよなんて思われてしまっても困る。

僕は歩いた。

この距離には何とも思わなかったのだが車で移動している時とは少し違う景色に気付いた。

美しいとかは思わないけど少しの違いを感じれるくらいまだ自分には心の余裕があるんだなとホッとした。

大島駅に着くと2階までエスカレーターで登り券売機で上野までのチケットを買う。

本当は新幹線のチケットを予約しておきたかったのだが何となく出来なかった。

僕の怠けグセが出てしまったのだ。

ホームで電車を待っていると田舎ということもあってあまり人はいないのだがそこにいる人達から見れば僕は少し浮いている。

大きいバックパックを背負い今からどこへ行くのだろうと思われている。

しかも前回の旅からバックパックには触れていなかったのでまだデリーから帰ってきたときのシールが貼られていた。

電車に乗り高崎駅へ行く。

ここで僕は新幹線に乗り継いで上野駅へ行き、また乗り継ごうとしていた。

前回のように変なファッションショーはなく移動中はじっとしている。

もともとバックパック以外はたいした服なんて着ていない。

ジーンズ以外はユニクロだしカッコいいものでもない。

なぜあの時に窓に映った自分はカッコよく見えていたのかも分からない。

たかだか半年前のことなのに鮮明に覚えてるし出来れば消したい記憶だった。

新幹線に乗って僕は好物の赤飯のおにぎりとサンドウィッチ、そして午後の紅茶ミルクティーを持っていた。

これだけで500円近くするのは知っている。

実際レジで払っているし値段が高いのも知っている。

それでもこういう買い物がやめられない自分が情けないと思っていた。

それ以上に美味しかった。

食べ終えた時には上野に着いていて僕は不忍口に向かって歩いていた。

1回しか歩いたことがないのだが何となくここは記憶していた。

ここを外に出て歩いていけば京成上野の入り口が見えてきて僕はまた両替をするのだろう。

今回は3万円くらいにしておこう。

せっかく旅をするのだから節約するのはいかがなものか?

そう思う人もいるだろうが僕は本当にお金がないのだ。

一人暮らしをしていて車も持っている。

贅沢な人間なのだが経費が多くかかってしまいそんなに贅沢など出来ないのだ。

他の人が羨ましいとは思わなかったが自分の生活に対する甘さがだんだんと自分の首を締めていることも感じていた。

もし帰ってきたら色々と自分の生活を見直そう。

一瞬だけそう思っていた。

両替を済まし僕はスカイライナーではなく在来線を選んだ。

なぜかというとこれからもっとお金がかかりそうな気がしたからというのとお金をかけなくても自分の旅を続けていく方法を見つけていくためだった。

もちろんさっき言ったように普段の生活を見直せばいいのだ。

それも踏まえて自分の生活を全部見直す良い機会になるだろう。

また僕は長い電車に揺られ成田まで行った。

ここでもやることなどなくじっとしている。

本でも持ってくればよかったのだが何も持ってきてはいなかった。

退屈ほどツライものはない。

少し貧乏でも忙しい方がいいのではないかと思っている。

僕は富豪にはなれない。

今のところこんな思考をしている限り無理だろう。

そろそろ成田に着く。

気持ちの良い景色を眺めながら僕は荷物の中を一度確認して降りる。

「まだ時間があるな」

前回よりも穏やかな気持ちで僕は歩いて行った。

つづく。

 

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