暑さ その8

ここはベトナムだ。

そんなことは全然感じない。

だってまだ飛行機の中だから。

とりあえず飛行機は空港に着き滑走路をゆっくりと走っている。

もしかしたらゆっくりではなかったのかもしれない。

おそらくあれだけの速い速度からここまで落ちたからそう思えたのだ。

空港から伸びている連結するところにドーンという音がなり連結が完了した。

みんなが空港内に入ろうという波にのまれながら僕も空港内に向かった。

ホーチミン空港の第一印象は何もない。

そんな印象だった。

中国の空港を見てしまった後だからそう思ってしまったのだ。

僕はイミグレーションを通過しバックパックを探した。

ちょっと心配だった。

飛行機が変わるのにバックパックを本当に乗せかえてくれるのだろうかと。

しばらくしたらオレンジとグレーの大きなバックパックが出て来た。

少しホッとしてそのバックパックを取り外に向かった。

ここで僕は思い出さなければいけなかった。

この空港でWi-Fiに繋ぐ事を。

しかし僕はバックパックがあったことに気を取られてしまいそのまま外に出てしまった。

引き返そうとしたが遅かった。

係の人がここからは中に入れませんと言った。

そんなことは分かっているが引き返したかった。

僕は朝の3時に空港の外でしゃがみ込んだ。

もうどうでもよくなり朝になったら適当なバスを探して乗ればどこかには着くだろう。

そんな考えになっていた。

まわりを見ればいくつかベンチがあり人のいないところへ行き僕は座った。

ここで少し寝れば空も明るくなるだろう。

そう思い少し眠りについた。

少し時間がたつと僕の体が痒くなっていた。

蚊に刺されたのだ。

確かに耳元でブーンという嫌な音が鳴って無意識に手で振り払っていた。

東南アジアの暑さと湿気の中で生息している蚊はどんなものか見たかったのであえて僕の腕を差し出し刺されているところを見てみた。

よく見れば日本の蚊とは少し違いお尻が上がっているというか後ろ足が長いというか変な形をした蚊だった。

刺されたところは日本にいる蚊とたいして変わらず赤くなってから痒くなりしばらくするとなおる。

特別に変わった症状を出すわけではない事が分かって安心してまた寝た。

体は痒かったが寝た。

気が付くと空は少しだけ明るくなり大型のバスやタクシーなどが多くなって来た。

そして寝起きの僕に対しておじさんが大きな声で呼んでいた。

彼はハイエースの運転手で後ろの座席にはすでに5人が乗っていて他の乗客を待っているようだった。

どこに行くのかと聞くと彼はバスステーションと言った。

これは僕が行きたかったところではないか。

ナイスタイミングと思い金額も聞かずに僕は後部座席に乗った。

いろいろな国の人がいるがみんなバックパックを持っていたので僕と同じような旅をする人であろう。

僕は短期間しかいないのでもしかしたら彼らはもっと長い期間を使って旅を楽しむのだろう。

ちょっと羨ましかった。

声をかけて話してみたかったが僕の英語がとんでもなくひどいのでやめた。

空はもっと明るくなりそれと同時に街に入って来たので景色がにぎやかになって来た。

街中で車が止まり僕はお金を運転手に払い外に出た。

いくら払ったかは忘れてしまったがボッタくられたような記憶はない。

ここがベトナムか。

朝からにぎわう街の感じはインドに似ていたが建物の作りや人の顔などはまったくの別物だった。

ここで多くの外国人が待っていた。

長距離バスのチケット売り場だそうだ。

僕も並びチケットを買おうと思ったら1人の男の子が声をかけて来た。

「どこから来たんですか?」

少し浅黒い若い男の子だった。

つづく。

 

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