暑さ その10

暑さ

バスはホーチミンを出発してカンボジアの首都プノンペンに向かっている。

僕はずっと窓の外を眺めていた。

街を出てからはずっと田舎道で景色は田んぼしかない。

時々小さなお寺が出てきたりしたが本当に小さく一瞬で通り過ぎてしまった。

またずっと田んぼ。

農業が盛んな国なのかな。

そんなことしか考えられなかった。

インドと違い緑が多く少し昔の日本の景色を思わせていた。

そしてその周辺に住んでいると思われる人々は笑顔が多かった。

その笑顔が印象的だった。

インドではあまり笑顔に出会ったことはなかった気がする。

多分この国も決して裕福ではないだろう。

しかし人々は笑顔でいられる。

それはそれで幸せなことだと思う。

お金だけがしあわせの物差しではない。

僕は子供の頃からずっとそう思ってきた。

大人になってお金の必要性や仕事のありがたさなどが分かってきたがそれは最近のことであり無ければないで何とかなるという持論がある。

しかしすぐ誰かに論破されてしまうだろう。

僕の中だけの感覚でいいのだ。

もし僕がこの国に生まれて裕福ではなかったとしても受け入れて笑顔でいられたと思う。

そこに生まれたのだから仕方がないと思いながら生きていくだろう。

でも1回くらいはチャンスを求めて首都に出たり海外へ仕事を求めていたと思う。

日本に生まれた僕はその時点で幸せなのだ。

本当の幸せが何なのかは分からないが幸せだと思う。

なんかこのバスに乗っているだけで心が穏やかになっていく。

こういう景色を眺めながらゆっくりする旅もいいかもしれないと思う。

先進国もいいが僕がおじいちゃんになっても問題なく行ける気がするし今は少し発展途上国に行った方がいいと感じている。

今回の旅はベトナム、カンボジア、タイに行くわけだが正解だったと思う。

距離的なものも考えてみると本当に良かった。

もし休みがもっと多く取れるのであれば違うところも考えてみるが今の仕事のスタイルだとこのくらいが限界だと思う。

自分のシートに半ケツの状態でいうのも何だがそう思う。

隣の女性が嫌なわけではないが1.5シート分の幅をとってしまうくらいだから飛行機のエコノミー席の時はどうしているのだろうと考えてしまった。

明らかに標準のシートではおさまらない幅だからこれから色々と不便なのではないのだろうかとちょっと心配になった。

だったらビジネスクラスに乗ってゆったりとした席を取るべきではないかとも思うがそんなにお金に余裕があるのならこのバスには乗っていないだろうと察しもついた。

僕はもともと太る体質ではないのとほぼ毎日運動をしているのでどちらかというと細身だ。

だから太っている人の気持ちが分からなかった。

なぜ太るのだろう?

なぜ途中で気付かないのだろう?

いつもそう思っていた。

いつかは僕も太り肉はたるみ完璧なおじさんになるだろう。

しかし今は言わせて欲しい。

なぜそうなる?

もし僕がそうなったら説明出来るようにはしておこう。

バスの速度が落ちてきて休憩所に着いた。

僕の片方のお尻は血流がほぼ止まっていて痺れていた。

少しだけ解放される。

助かった。

つづく。

 

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