南の北へ

南の北へ

ここはベトナムのどこだろう。

ホーチミンから北へ行きカンボジアへ入ろうとしている。

僕はその途中にある休憩所で屈伸をしていた。

隣の女の人の幅が広いため動きが自由に取れなかったからだ。

少し体を動かした後に僕はバスの中で飲み干してしまったコーラを追加で調達しようと小さい個人店に行き買った。

すごく冷たいコーラが出てきた。

こんな田舎にも冷蔵庫はしっかりと置いてあるんだな。

まわりを見れば本当に何もないような田舎だ。

しかし電線だけは通っている。

これは国民にとってありがたいことだろう。

電気すらまともに引いてないような国もあるという情報の中で僕も最悪カンボジアで暮らしていけるのではないかと思った。

インドでもそんなことを言っていたような気がする。

もしかしたら僕は海外で暮らしたいのかもしれない。

現実はそんなに甘いものではないと知っているのだが1回くらいはやってみたいと思っているのだろう。

まあ無理だな。

休憩時間も終わり僕はコーラを持ってまたバスに乗った。

席に座ると僕の隣には男の人が座りふくよかな女の人はもう1つ隣の席に移動していた。

良かった。

僕は心の底からそう思った。

1人分のシートってこんなに広かったんだとあらためて思った。

バスが動き出し北へ向かう。

出発してからすぐ大きい川がありここでバスは止まった。

僕は窓側の席だからよく見えていた。

このバスを船に乗せようとしている。

大丈夫だろうか。

バスが少しずつ進んでいる時に係の人が来て乗客のパスポートとお金を集めていた。

カンボジアに入るにはビザが必要だ。

そして彼らがそれをやってくれる手間もある。

合計で25ドル。

ビザが20ドルで手数料が5ドルである。

妥当な値段だと思う。

 

僕はパスポートとお金を係の人に渡しバスが船に乗るのを見ていた。

船が動き出し少し揺れだした。

向こう岸も見えているのでそんなに心配はしていない。

何のトラブルもなく向こう岸に着き、バスがまた動き出した。

そして少し走ってから国境に着いた。

大きめの建物の前にバスが止まり僕たちはバスから降りた。

陸での国境越えは初めてだった。

少し緊張していたが建物の中に入りみんなリラックスした状態で僕も少し安心した。

僕の順番が来てガラス越しの係員にいくつか質問されたが特に問題なかった。

両手の5本指の指紋検査やカメラで僕の顔を撮る。

これで終わりだ。

僕は外に出た。

「ここがカンボジアか」

そう言ったもののまわりの景色は全然変わらない。

あっけなく僕の楽しみにしていた陸での国境越えは終わった。

そして少し歩いたところにバスが待っていて僕たちは乗り込んだ。

時間がたってもバスが出発しない。

どうしたのだろう。

1人検査でひっかかったみたいだ。

10分くらいしたら女の人が乗ってきた。

これで乗客は揃い出発した。

国境が特別にぎやかな街というわけではないので景色はすぐに田んぼになった。

ホーチミンとカンボジアの景色の何が違うのだろう。

僕からしてみれば一緒だ。

おそらく顔も似ているのではないか。

陸続きでここからはカンボジアですと言われてもピンとこないな。

そんなのなくてもいいんじゃないのか。

そう思えてきた。

国境を越えて少し安心したのか僕は寝てしまった。

自分でもいつ寝たのかは分からない。

起きた時には街に着いていた。

ここがカンボジアの首都、プノンペンか。

つづく。

 

 

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