もっと北へ その7

もっと北へ

タプローム。

シャムリアップで僕が行きたいと思っていた最後の場所である。

ここを見た後には僕はホテルに戻りまた街に繰り出しあの美味しくないココナッツカレーに挑戦しなくてはいけない。

そんな嫌なことを考えていたら運転手がある場所を指差していた。

近くにある食堂だ。

僕はお昼ご飯を食べていなかった。

ココナッツカレーのことを考えていたら食欲がなくなっていたのかもしれない。

僕は運転手に親指を立てて合図して食堂に行ってもらった。

簡単なものでいい。

ちょっとお腹が満たされれば僕はそれで満足なのだ。

僕はメニューを見てまたココナッツカレーがあるとがっかりした。

まあ頼まなければいいんだけど。

目の前には運転手がいる。

僕が一緒に食べようと誘ったからだ。

彼は申し訳なさそうに一緒に店内に入ったのだ。

好きなもの食べていいよと僕が言ったら彼はココナッツカレーを頼んでいた。

現地の人はココナッツカレーが好きなんだな。

確かにどこの食堂に行っても必ずメニューに置いてあるし運転手も頼んでいる。

僕も食べ続ければいつか慣れてくるのかな。

無理だな。

今回はさすがにやめておこう。

僕はカエルのソテーとライスを頼んだところで店員が面白いものがあると言ってきてメニューには載っていないものだと言った。

何か分からなかったが運転手はここにくることが多いらしく何かを察した顔をしていた。

ビーフブレーン。

そう言われて僕は迷った。

そんなのお客に出していいのかな。

そもそも脳みそって相当新鮮じゃないとウィルスとかがすごくて僕の体の中に寄生虫が入ってきちゃうんじゃないかと心配して断った。

しかし店員は少しだからとかひと口サイズだからとか安全だからとか言ってきてどうしても僕に食べさせたかったのだろう。

そもそも僕は食品に詳しくはないが食べてもいいものなのだろうかということも分からなかった。

運転手も苦笑いしていたしちょっと怪しかった。

本当に牛の脳ミソなんて出すようなお店だったら訴えられているような気がする。

僕は本当にそれが出てくるのか疑っていたし見たくなった。

食べるかどうかは別として。

料理が出てくるのを待っている時に運転手は僕に日本では給料はいくらなんだいとか僕も日本で働きたいなどと言っていた。

確かに1日30ドル払う約束をしているがこの1日で日本円にするとだいたい3,200円くらいだ。

今は僕というお客がいるからいいもののお客がつかない時もあるだろう。

そういう時は無一文で家に帰るのだろうか。

彼は今の時期は何もしなくてもお客が多くて問題ないけど違う時期になると全然お客さんが減ってしまって大変だと言っている。

こんな有名な観光地でも人が少なくなる時があるんだなと思ったし、その時期を教えてくれれば次はその時にでも来たいと思った。

そして先にココナッツカレーが出てきた。

運転手は美味しそうに食べていた。

僕には真似できないなと思っていた矢先にカエルが出てきた。

最初は聞いただけでも見ただけでも恐ろしかったものが今は何の抵抗もなく食べられるしむしろ美味しいとさえ思っている。

食べてみて分かったがやっぱり美味しかった。

そして牛の脳みそというものが小皿に出てきた。

なんかどこかで見たことのあるようなものだな。

思い出してみると地元の高級海鮮料理店で食べた白子に似ている。

動物は食べられないところはないと言われているが本当だろうか。

僕はちょっとだけ食べてみた。

やっぱり白子だ。

味はよく覚えていないが食感は白子そのものだしムニュムニュしている。

本当に脳みそかどうかは確信が持てなかったがとりあえず少しだけ食べて残りは運転手にあげた。

僕が一度お手洗いに行っている間になくなっていたということは運転手は食べたということだ。

なかなかやるな。

僕はあえて運転手に感想は聞かなかったが彼は笑顔だった。

お会計を済ませると運転手は僕にお礼を言いまたトゥクトゥクに乗って動き出した。

つづく。

 

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