会社を辞める、そして転職へ

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2025年9月、ひとつの情報が日本にある本社から入った。

「タイの事業は今年いっぱいで休眠化します。」

休眠化?

どういうことだろう。

タイ事業から撤退という意味なのだろうか?

「各顧客には休眠化としてお知らせしてください。」

そんなお達しもあった。

顧客はどう思うのだろう。

確かにすぐ会社を閉めるとなると税務関係でトラブルが起きやすいという情報が多いから何年かは休眠化として会社は置いておき、活動停止をしてから正式撤退にする会社はある。

多分それだ。

少しだけ理解した。

それにしても今年3月に駐在になり6月に前担当が帰国し、少ししか活動しておらず寂しい気もする。

そして問題なのはプロジェクトの最中で活動停止になってしまったため、キャンセルして他企業様にこのプロジェクトを引き継いでもらわないといけない作業があることだ。

幸い僕が駐在になる以前に会社を辞めた営業担当が連絡をくれてサポートしたいと申し出てくれた。

その元営業担当は離職後、新しい会社で顧客を訪問しており、引継ぎをするには彼としてもこれからタイ事業を伸ばしていくうえで必要みたいだ。

そして僕は彼のサポートがなければうまく事業撤退できないことも分かっていた。

お互いにWin-Winということで話は早く決まり僕は協力を惜しまなかった。

そして現在、ある程度タイ事業の区切りが見えてきた。

僕にも少し心の余裕ができ始めて自分の将来について考えた。

タイ事業撤退に伴い今の会社は海外工場がなくなりこのままいけば僕は日本へ戻ることになると思う。

僕がこの会社に入社した理由は海外工場での活動を継続したいからだ。

時は遡り9年前僕は前職場のフィリピン工場に赴任した。

5年間活動した後に他の業種、そして他の海外工場へと新しいキャリアを歩んだ。

中国での駐在が3年間、タイでの駐在が約1年間の合計9年で海外生活を終えることになる。

このまま日本に戻って会社の役に立つことも可能だと思う。

本社は人手不足と聞いているから。

でも僕自身がそれでいいのか考えた。

まわりの海外駐在者は帰任する時に任期を終えるか家族などの事情で帰国することが多い。

しかし僕は親も元気で自分自身も健康である。

このまま海外生活を終えるのは将来自分の活動を振り返った時に後悔するのではないかと思っている。

だから、また転職しようと考えた。

今の会社は転職しようと考えていた時に求人サイトを介して直接社長から連絡してもらい入社した。

今回は転職エージェントに登録して自分で優先順位を考えてしっかりとした転職をしようと考えた。

自分の履歴書と職務経歴書を更新した。

改めて自分のキャリアを振り返ってみると変だなと思う。

18歳から工場勤務で37歳で転機を迎え海外駐在として管理職となった。

3ヶ国の勤務経験を経て今があるがこの職務経歴書を見て良い人材だと判断する企業はあるのだろうか?

内心僕なんかが企業を選ぶことなどできるのだろうか?

何100社も受けて無職として長い期間過ごしてしまうのではないだろうか?

不安しかない。

実際はじめて連絡をくれた転職エージェントの担当者様が僕に言った言葉は「自分がやりたい、やれそうだと思う企業様には積極的に応募して数をこなしましょう。」だった。

やはり僕には困難な道が待っているのだろう。

そう感じていた。

しかし後に聞いた話だが、他の転職エージェント担当者様は「僕の経歴と企業様の求人をマッチさせるのでやみくもに応募しても良くないと思いますよ。」だった。

どちらが良いのかは分からない。

しかしこの話を聞く前にすでに15社はやみくもに応募してしまった。

そして書類選考で落選が続いていた。

それはそうなるだろう。

だって自分の経歴とは合わない人材から応募が来て企業様も困惑するに違いない。

僕は少し待つことにした。

ある転職エージェント様からは多くの企業紹介をいただき面談時間ももらった。

もちろん転職エージェント様も僕と企業がマッチすると判断して推薦してくれたが落選することも少なくなかった。

しかしそれは「今回はタイミングや需要の関係、あとは候補者が別にいて比較対象としてたてられただけの可能性もあり縁がなかったと思ってもらい次に切り替えた方が良いです。」と言ってもらえて気が楽になった。

落選のたびに気持ちが落ちていたら自分がダメになると思うし、こんなことで落ち込んでいるようじゃ入社したあと使い物にならないだろう。

なので切替は大事だなと思った。

自分がこの会社に入りたいと思っただけじゃ片思いだし、企業様がこの人材を欲しいと思っても人材の条件が合わなければ成立しないのだ。

それは十分理解した。

今回はダメだったかもしれないが次回は大丈夫かもしれない。

そんなものだと受け止めるしかなかった。

そうこうしているうちにある企業様から面接依頼が入ったと連絡を受け取った。

すごく嬉しかったことを覚えている。

それと同時に面接で何を聞かれるのだろう、何を伝えればよいのだろうと不安になっていたところ転職エージェント担当者様から事前の面接練習やこんな質問が来るだろう、そしてこの役職の人が参加しますと連絡をいただき不安は少しずつ取り除かれていった。

僕は海外に住んでいるので日系企業様との面接は基本的にWeb面接になる。

対面よりも空気感は薄い、そして電波の問題もあり相手の話をしっかり聞いて聞こえない場合はこの話が聞こえませんでしたと伝える、相手の話が終わってから少し間を開けて回答しないと話が被ってしまい良い印象が生まれなくなるなどWebでの打ち合わせをこなしていないと苦労したり少しパニックを起こし思っていたことが飛んでしまう。

相手も分かってくれるのだがこれは社会人として慣れておくとある意味差別化できるのではないかと思う。

1次面接と聞いていたがいきなり社長様、役員様が出席されるとのことで実質最終面接である。

約1時間の面接は上手く流れていき自分の回答や伝えたいことは話せたと思う。

後日転職エージェント様から連絡が来て良い印象だったという結果報告と適性検査を受けてほしいと言われた。

この適性検査はおそらくSPI適性検査で言語、非言語などお勉強をしてこなかった僕にとって厳しものとなった。

受験後の結果は何点か足らないのでもう一回受検してほしいと再検査を依頼されてしまった。

この時僕は高卒というコンプレックスを思い出してしまった。

再受験はしたものの全然手ごたえがないまま時間が過ぎていった。

この間に僕は他の企業様紹介を受けていて、こちらも面接を受けさせてもらうこととなった。

微妙に自分が2社同時に選考にかけられていて、僕から企業様を選べるのかもとうれしい反面両方落ちたら最悪だということも考えていた。

学生の受検活動もこんな感じなのかもしれない。

後から面接を受けた企業様とは1次面接、最終面接とスムーズに行き最終面接後当日に内定をいただいてしまった。

信じられない気持ちだった。

適性検査回答待ちの企業様もあるなかで僕は内定を早く出してくれた企業様にお世話になりたいと考えた。

どちらの企業様も今僕が在籍している会社よりも規模は大きく、海外工場を多く持っており駐在前提でお話は進んでいたのだ。

どちらでもよかったという言い方は適切ではないが、どちらか内定がもらえれば間違いなくお世話になる予定だった。

これから始まるのは現職を全うすること、新しい会社のために準備を怠らないことである。

面接時にも言われたが何歳になっても勉強する気持ち、新しい体験をしようと自分から動く行動力が大切だということだ。

海外工場での活動は続けられると思うのだがタイではなさそうだ。

少し寂しいがこの国とはお別れになってしまう。

まだ時間はあるからもう少し楽しんでおこう。

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